Q 日蓮宗の葬儀の流れ
今回は日蓮宗のお葬式についてご紹介します。
日蓮宗の葬儀
日蓮宗は、鎌倉時代に日蓮聖人が開いた仏教宗派です。日蓮宗は、妙法蓮華経（法華経）をよりどころとする宗派で、「南無妙法蓮華経（なむみょうほうれんげきょう）」のお題目を唱えることにより人々は救われると説いています。葬儀ではこのお題目を、参列者全員で複数回唱える場面もあります。
また、葬儀の際に団扇太鼓（うちわだいこ）、妙鉢（みょうはち）、「銅鑼（どら）」等の鳴り物を鳴らすことや、唄や演奏が捧げられる場合があることも特徴的です。
日蓮宗の葬儀の流れ
日蓮宗のお葬式は一般的に下記の流れで執り行われます。
１ 総礼（そうらい）
合掌し題目を3回唱えます。
２ 道場偈（どうじょうげ）
仏様をお招きするために、道場偈（曲）を流します。
３ 三宝礼（さんぽうらい）
三宝（仏・法・僧）を礼拝します。
４ 勧請（かんじょう）
久遠実成の釈尊、四菩薩、諸仏諸尊、日蓮聖人をお招きします。
５ 開経偈（かいきょうげ）
お経の前に読まれる偈。法華経の功徳を称え、尊ぶことを誓います。
６ 読経
咒讃鐃鈸（しゅさんにょうはつ）
供養のために演奏を捧げます。
７ 開棺（かいかん）、
文を唱えて、中啓（ちゅうけい：半分開いているような形状の扇子）で棺を3回打ち鳴らします。
８ 引導
僧侶が払子（はっす：短い柄に麻等を付けた、小さな箒のような形状の仏具）を振り、引導文を読み上げます。
９ 弔辞・弔電
１０ 祖訓
日蓮聖人の遺文を拝読します。
１１ 唱題
「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えます。
１２ 焼香
参列者が焼香します。
１３ 宝塔偈（ほうとうげ）、
法華経の功徳をたたえる偈文を唱えます。
１４ 回向（えこう）
故人の成仏を祈ります。
１５ 四誓（しせい）、
修行中だった阿弥陀仏が誓った４つの言葉を唱えます。
１６ 三帰（さんき）
仏･法･僧の三宝に帰依する事を誓います。
１７ 奉送（ぶそう）
仏様をお送りします。
１８ 閉式
日蓮宗の葬儀マナー
日蓮宗の葬儀マナーについてご紹介します。
日蓮宗の焼香マナー
仏教の葬儀では、摘んだ抹香を香炉にくべる「焼香」が行われます。宗派によって焼香の回数は異なりますが、日蓮宗では宗内宗派によっても異なり、1回〜3回となります。焼香の流れは以下の通りです。焼香中は「南無妙法蓮華経」のお題目を繰り返し唱えます。
１ 焼香台付近へ進み遺族に一礼。焼香台へ一歩近づいて本尊に一礼します。
２ 左手に数珠を持ち、右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香を摘みます。
３ 摘んだ抹香を額の位置まで持ち上げます。
※この作法を「押しいただく」と言います。
４ 香炉に抹香をくべた後、合掌して一礼します。
５ 遺族に一礼後、自席に戻り着席します。
日蓮宗の数珠の持ち方
数珠には宗派ごとの正式な数珠（本式数珠）と宗派に関わらず利用することができる略式数珠があります。本式数珠は108個の珠から成る数珠で、宗派によって正式な数珠と認められています。
日蓮宗の本式数珠には2本の房と3本の房が付いていて、お題目を唱える時には右手に2本の房、左手に3本の房がくるように八の字にねじり、両手の中指にかけて手を合わせます。合掌する際には2重にしてから左手にかけ、手を合わせます。どちらの場合も房を下に垂らすようにして持ちましょう。
まとめ
・日蓮宗は妙法蓮華経（法華経）をよりどころとする宗派で、「南無妙法蓮華経（なむみょうほうれんげきょう）」のお題目を唱えることが重要とされているため、葬儀の際にはこのお題目を複数回唱える場面があります。
・日蓮宗のお葬式では、団扇太鼓（うちわだいこ）、妙鉢（みょうはち）、「銅鑼（どら）」等の鳴り物を鳴らすことが特徴的で、唄や演奏が捧げられる場合もあります。
・日蓮宗の焼香回数は宗内宗派によって異なり、1回〜3回となっています。
