Q 浄土宗の葬儀の流れ
日本で行われるお葬式の多くは仏式ですが、一口に仏式葬儀と言っても、宗派によって儀礼が異なることをご存知でしょうか?
今回は、現在日本に600万人ほどの信者がいるとされている、浄土宗のお葬式についてご紹介します。
ちなみに、浄土宗と似た宗派に浄土真宗がありますが、浄土宗と浄土真宗は異なる宗派であるため、葬儀の流れにも違いがあります。
浄土宗のお葬式の特徴
浄土宗は平安時代、天台宗の僧侶「源信」が著した「往生要集」の流れを受け継いだ法然上人(ほうねん しょうにん)が開いた仏教宗派です。
浄土宗には、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の念仏を唱えるだけで、阿弥陀仏(阿弥陀如来・あみだにょらい)の救いを得ることができ、極楽浄土へ往生できるという「他力本願」の教えがあります。
このように浄土宗では「南無阿弥陀仏」の念仏を重要視するため、葬儀においても、僧侶と共に参列者が念仏を唱える「念仏一会(ねんぶついちえ)」が行われます。
浄土宗の一般的な葬儀式の流れ
浄土真宗の葬儀は序分(じょぶん)、正宗分(しょうしゅうぶん)、流通分(るつうぶん)の3部構成です。
序分
【入堂】
僧侶が入場します。その際正式には、鐘や太鼓を鳴らします。
【香偈(こうげ)】
心身を清めるために香を炊き、仏の降臨を願います。
【三宝礼(さんぽうらい)】
仏・法・僧に帰依することを表す経文を唱え、礼拝します。
【奉請(ぶじょう)】
諸仏の入場を願います。
【懺悔(さんげ)】
故人の生前の罪を振り返り、懺悔します。
正宗分
【作梵(さぼん)】
梵語の「四智讃(しちさん)」を唱え、本尊に向かっていた僧侶が棺に向き直ります。
【合鈸(がっぱち)】
鈸(はち)を鳴らします。
【鎖龕(さがん)】
中啓(扇)で円を描き、棺を閉ざします。
【起龕(きがん)】
棺を起こし、文を唱えます。
【奠湯(てんとう)・奠茶(てんちゃ)】
霊前にお湯とお茶をお供えします。
【霊供(りょうぐ)】
霊前にご飯をお供えします。
【念誦(ねんじゅ)】
僧侶がお経を唱えます。
【下炬引導(あこいんどう)】
浄土宗の葬儀において、最も重要とされている儀式です。2本の松明もしくは線香を持ち、1本を捨てて、もう1本で円を描きます。引導文や念仏を唱えます。
【開経偈(かいきょうげ)】
教義の真実を会得することを願い、開経偈を唱えます。
【誦経(じゅきょう・ずきょう)】
阿弥陀経・無量寿経・観無量寿経などのお経を唱えます。
【摂益文(しょうやくもん)】
「観無量寿経」中の「真身観文」という章段からとった偈文を唱えます。
【念仏一会(ねんぶついちえ)】
僧侶と参列者が共に念仏を唱えます。
【回向(えこう)】
念仏の功徳が故人の成仏の助けとなることを願います。
【総回向(そうえこう)】
念仏の功徳が全てのものの成仏の助けとなることを願います。
流通分(るつうぶん)
【総願偈(そうがんげ)】
故人が仏道の修行を全うすることを願います。
【三身礼(さんじんらい)】
偈文を唱え、阿弥陀仏への帰依を表します。
【送仏偈(そうぶつげ)】
諸仏を浄土へ送り出します。
【退堂】
僧侶が退場します、
浄土宗の焼香マナー
数珠を左手に持ち、右手親指、人差し指、中指を使って抹香(まっこう)をつまみます。つまんだ抹香を額の高さまで持ち上げてから香炉にくべます。
浄土宗では、焼香の回数に決まりはありません。
※焼香の作法は地域の風習や僧侶によって異なる場合があります。
まとめ
・浄土宗は平安時代に法然上人が開いた仏教宗派です。浄土宗には、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」の念仏を唱えるだけで、極楽浄土へ往生できるという「他力本願」の教えがあります。
・浄土宗では「南無阿弥陀仏」の念仏を重要視するため、葬儀においても、僧侶と参列者が念仏を唱える「念仏一会(ねんぶついちえ)」が行われます。